2023年9月15日 金曜日
お産が大変だった人ほど受けてほしい産後の骨盤ケアと赤ちゃんのケア
「お産が大変だった・・・」そういうお話はよく聞くことかと思います。この記事を読まれている貴方もお産が大変だったかもしれません。どんなお産も体に負担がかかるのは間違いありません。ただその中に負担の大小がある事は確かでしょう。この記事では分娩によってどんな負担がかかるのか?そのためにどんなケアが重要なのか?それは母体にとっても赤ちゃんにとっても必要である事を解説していきます。
まずは分娩で骨盤にかかる負担を知るには通常の状態を知っておく必要があります。
よく雑誌やブログ記事などで骨盤についての解説を見かけることと思います。
そのような記事を見ていると骨盤が自由に開いたり簡単に閉じたりするといった
印象を受けるかもしれません。
しかし、骨盤はそんな簡単に動きません。
私は実際、アメリカのコロラド州でホルマリン固定されていないご献体での
解剖実習で確認してきました。
多少、生命活動がある状態、年齢その他個人差はあるかと思いますが
他の関節の可動性との比率を考えてもそんなに動くと言った印象は受けませんでした。
ただ構造的には動くようにできているので
「わずかに動く、そしてその僅かな動きが人間の滑らかな動きには必要である」
というのが今のところの私の見解です。
ここで理解しておいて欲しいのは
「そんなに開いたり閉じたりするものではない」ということです。
第一、骨盤は内臓を含む非常に重たい上半身の受け皿の様な役割。
そして下半身の床半力を受けています。
それだけ力がかかっています。
そんな、骨盤がよく動く状態では体を支えられません。
今までは通常時の骨盤について説明してきました。
しかし、分娩となると話は変わってきます。
人間の分娩が哺乳類の中でも最も難しいとも言われています。
それは二足歩行を手に入れた事によって手足の自由と脳の巨大化と引き換えに
内臓下垂、床半力に対抗するだけの分厚く強靭な骨盤に加え骨盤底筋群を装備したからです。
余談ですが犬は骨盤が薄く長く骨盤底筋群も薄いです。
ですから多産が可能です。
そんな強靭な人間の骨盤、そこを通過してくるのが分娩
つまりかなりの負荷がかかります。
実際に「割れそうな感じ」を体感した方も多いかと思います。
恥骨結合という骨盤の前側のつながりはひどい方で4cmほど広がったりします。
仙腸関節という後ろ側の関節もMRIで隙間が確認できるものもあります。
また骨盤の底の筋肉、下腹部の筋肉も通常よりかなり引き伸ばされます。
分娩はケガと捉えると解りやすいかもしれません。
分娩の負荷によって靭帯や軟骨組織、筋膜などの結合組織そして筋肉が損傷します。
つまり、捻挫や肉離れをしている様な状態になっているのです。
分娩が比較的楽だった方はこの損傷が軽度で
分娩が大変だった方ほどこの損傷が重度な可能性が高いという事です。
ですから、その損傷度合いによって改善する期間やケアは変わってきます。
足首の捻挫で軽度のものは湿布程度で改善しますが、
重度のものは固定やしっかりしたケアが必要です。
それと同じで骨盤の固定もその損傷レベルによって変わるという事です。
分娩が長時間にわたってだったり、会陰裂傷があったり、
胎児の頭が大きかったり、そういう分娩だった方そして分娩後から骨盤がガクガクしたり痛みがある、
尿漏れなどがあるという方は確実に骨盤周辺にダメージを受けています。
つまり、しっかりとしたケアが必要です。
ここでは足首の捻挫をイメージすると解りやすいかもしれません。
「昔、足首を捻挫したところが痛む」
「捻挫して湿布はしてたけど長時間歩くと痛い」
こんなお話をどっかで聞いた事はございませんか?
人間には自然治癒力が備わっていますのである程度は自然に回復します。
しかし組織の損傷はケア次第で回復の度合いが変わります。
しっかりと、できるだけ正しい状態に戻し固定し、
損傷した筋肉の働きを回復させる必要があります。
ですから、「バキッ」と一回やって骨盤が改善するほど簡単なものではありません。
むしろ損傷が増してしまう可能性があります。
産後はアドレナリンやオキシトシンと言ったホルモンの影響で痛みが感じにくい状態にあるとも言えます。
また育児で毎日いっぱいいっぱいで自分の事に意識が向かないかもしれません。
また上記した様にある程度自然治癒力があるので生活できるレベルまでは改善しているかもしれません。
しかしそれは理想値までは改善していると言えません。
それが近い将来でなく遠い将来に影響が出るかもしれません。
実際に産後尿漏れなどの症状があった方のほとんどが更年期以降に再発するそうです。
そうならないためにも今できるケアをしっかりしておく事が重要でしょう。
経膣分娩時、赤ちゃんは自分で動きます。
そして頭の骨を重ね合わせてできるだけ小さくなります。
つまり、分娩が長かったり母体の骨盤がきつかったりと言った場合
確実に赤ちゃんにも負荷がかかっています。
少し難しい話になりますのでここでは詳しく解説しませんがお産が大変だった多くの場合
最後に鉗子や吸引機で引き出す事になります。
その時に赤ちゃんの原始反射という反射が使われなかったり、
これは私の経験からの話ですが首や体が緊張している子が多い傾向にあります。
新生児の時からやや固い印象を受けます。
お母さんと同じ様に赤ちゃんも頑張って生まれてきました。
ですからしっかりと栄養を与えてあげてしっかりとケアしてあげなければいけません。
それは抱っこの仕方、スキンタッチ、遊び、授乳、寝かせ方などで
しっかり回復させてあげるのです。
分娩にはかなりの負荷がかかります。
その負荷には個人差がありますがどんな分娩でも体に負担がかかり
場合によっては損傷が起こっています。
今きっちりケアしていく事が将来のリスク軽減になります。
分娩は赤ちゃんにも負担がかかっています。
赤ちゃんの発達・発育のためにもしっかりとケアをしてあげてください。

Contents
○分娩による骨盤への負担
・正常な骨盤の状態
まずは分娩で骨盤にかかる負担を知るには通常の状態を知っておく必要があります。
よく雑誌やブログ記事などで骨盤についての解説を見かけることと思います。
そのような記事を見ていると骨盤が自由に開いたり簡単に閉じたりするといった
印象を受けるかもしれません。
しかし、骨盤はそんな簡単に動きません。
私は実際、アメリカのコロラド州でホルマリン固定されていないご献体での
解剖実習で確認してきました。
多少、生命活動がある状態、年齢その他個人差はあるかと思いますが
他の関節の可動性との比率を考えてもそんなに動くと言った印象は受けませんでした。
ただ構造的には動くようにできているので
「わずかに動く、そしてその僅かな動きが人間の滑らかな動きには必要である」
というのが今のところの私の見解です。
ここで理解しておいて欲しいのは
「そんなに開いたり閉じたりするものではない」ということです。
第一、骨盤は内臓を含む非常に重たい上半身の受け皿の様な役割。
そして下半身の床半力を受けています。
それだけ力がかかっています。
そんな、骨盤がよく動く状態では体を支えられません。
・そんな強靭な骨盤の構造が破綻するのが分娩
今までは通常時の骨盤について説明してきました。
しかし、分娩となると話は変わってきます。
人間の分娩が哺乳類の中でも最も難しいとも言われています。
それは二足歩行を手に入れた事によって手足の自由と脳の巨大化と引き換えに
内臓下垂、床半力に対抗するだけの分厚く強靭な骨盤に加え骨盤底筋群を装備したからです。
余談ですが犬は骨盤が薄く長く骨盤底筋群も薄いです。
ですから多産が可能です。
そんな強靭な人間の骨盤、そこを通過してくるのが分娩
つまりかなりの負荷がかかります。
実際に「割れそうな感じ」を体感した方も多いかと思います。
恥骨結合という骨盤の前側のつながりはひどい方で4cmほど広がったりします。
仙腸関節という後ろ側の関節もMRIで隙間が確認できるものもあります。
また骨盤の底の筋肉、下腹部の筋肉も通常よりかなり引き伸ばされます。
・分娩は激しい捻挫や肉離れをした様なもの
分娩はケガと捉えると解りやすいかもしれません。
分娩の負荷によって靭帯や軟骨組織、筋膜などの結合組織そして筋肉が損傷します。
つまり、捻挫や肉離れをしている様な状態になっているのです。
分娩が比較的楽だった方はこの損傷が軽度で
分娩が大変だった方ほどこの損傷が重度な可能性が高いという事です。
ですから、その損傷度合いによって改善する期間やケアは変わってきます。
足首の捻挫で軽度のものは湿布程度で改善しますが、
重度のものは固定やしっかりしたケアが必要です。
それと同じで骨盤の固定もその損傷レベルによって変わるという事です。
・分娩が大変だったり症状がある人は確実に負荷を受けている
分娩が長時間にわたってだったり、会陰裂傷があったり、
胎児の頭が大きかったり、そういう分娩だった方そして分娩後から骨盤がガクガクしたり痛みがある、
尿漏れなどがあるという方は確実に骨盤周辺にダメージを受けています。
つまり、しっかりとしたケアが必要です。
・どんなケアが必要か?
ここでは足首の捻挫をイメージすると解りやすいかもしれません。
「昔、足首を捻挫したところが痛む」
「捻挫して湿布はしてたけど長時間歩くと痛い」
こんなお話をどっかで聞いた事はございませんか?
人間には自然治癒力が備わっていますのである程度は自然に回復します。
しかし組織の損傷はケア次第で回復の度合いが変わります。
しっかりと、できるだけ正しい状態に戻し固定し、
損傷した筋肉の働きを回復させる必要があります。
ですから、「バキッ」と一回やって骨盤が改善するほど簡単なものではありません。
むしろ損傷が増してしまう可能性があります。
・将来に影響が出るかもしれません
産後はアドレナリンやオキシトシンと言ったホルモンの影響で痛みが感じにくい状態にあるとも言えます。
また育児で毎日いっぱいいっぱいで自分の事に意識が向かないかもしれません。
また上記した様にある程度自然治癒力があるので生活できるレベルまでは改善しているかもしれません。
しかしそれは理想値までは改善していると言えません。
それが近い将来でなく遠い将来に影響が出るかもしれません。
実際に産後尿漏れなどの症状があった方のほとんどが更年期以降に再発するそうです。
そうならないためにも今できるケアをしっかりしておく事が重要でしょう。
○赤ちゃんへの負担
・分娩が大変だったという事は赤ちゃんも頑張っていたという事
経膣分娩時、赤ちゃんは自分で動きます。
そして頭の骨を重ね合わせてできるだけ小さくなります。
つまり、分娩が長かったり母体の骨盤がきつかったりと言った場合
確実に赤ちゃんにも負荷がかかっています。
少し難しい話になりますのでここでは詳しく解説しませんがお産が大変だった多くの場合
最後に鉗子や吸引機で引き出す事になります。
その時に赤ちゃんの原始反射という反射が使われなかったり、
これは私の経験からの話ですが首や体が緊張している子が多い傾向にあります。
新生児の時からやや固い印象を受けます。
・赤ちゃんもしっかりケアしてあげる事が必要
お母さんと同じ様に赤ちゃんも頑張って生まれてきました。
ですからしっかりと栄養を与えてあげてしっかりとケアしてあげなければいけません。
それは抱っこの仕方、スキンタッチ、遊び、授乳、寝かせ方などで
しっかり回復させてあげるのです。
○まとめ
分娩にはかなりの負荷がかかります。
その負荷には個人差がありますがどんな分娩でも体に負担がかかり
場合によっては損傷が起こっています。
今きっちりケアしていく事が将来のリスク軽減になります。
分娩は赤ちゃんにも負担がかかっています。
赤ちゃんの発達・発育のためにもしっかりとケアをしてあげてください。